トミーズは幼なじみからの主従関係で健が雅にツッコめない
そんな十番勝負で、思い切ってそれまでの雅君がツッコミ、健ちゃんがボケだった形を入れ替えた台本を作ったら大問題が……。幼なじみで、いつも雅君の言うことを健ちゃんが受け入れる主従関係がしみついていて、台本の読み合わせではツッコミのセリフを言えても、いざ稽古になると健ちゃんがツッコめないのです。
「弱すぎる!」「もっと早く!」「そこはゆっくり!」「イントネーションが違う!」と徹底的にツッコミ特訓。
通し稽古は15分のネタをオチまで詰まることなく、間違えることなく最後までできるまでエンドレス。間違えれば、あと数行で終わるところまで進んでいても、また最初からやり直し、毎回ネタを一度通すのに2時間近くはかかりました。
1回目の興行は新喜劇が終わると、ほとんどのお客さんが席を立ち、残ったお客さんは数えるほど。それが次第に「トミーズがおもろい」と口コミで広がり、7回目あたりからは新喜劇が終了後にお客さんが増えるという逆転現象が起こり、10回目は立ち見が出るまで集客できるようになっていました。その後、タイトルを変えながら15回の新作ネタ興行を経て、上岡龍太郎さんの「EXテレビ」(読売テレビ)で「今、日本で一番おもしろい漫才」としてCMを挟まず40分のネタを披露させていただきました。努力は報われるものだと実感したものです。
これを機にトミーズは揺るぎない礎を築き、冠番組もでき、劇場でも欠かせない存在になっていきました。あの時の鬼気迫る2人の稽古姿は今でも忘れられません。