「羽鳥慎一モーニングショー」4年連続民放トップの勝因
「まだ待っているのかっていう感じ。なるべく早く出すべきだ」
レギュラーコメンテーターのテレビ朝日報道局員、玉川徹氏がこう言うと、やはりコメンテーターでタレントの石原良純が「僕はそう思わない。緊急事態宣言が(感染抑止の)きっかけになるんだろうか。下手に出したとしても上滑りに終わってしまうんじゃないかって」などと反論――。
テレ朝系の朝の情報番組「羽鳥慎一モーニングショー」でのひとコマ。同時間帯の2020年年間平均視聴率で4年連続民放トップとなり、15年の番組スタート以来初めてNHKを含めた横並びでもトップに立ったと同局が発表した4日放送のコロナ特集である。
「昨年でいえば、新型コロナ感染特集で拡大への危機を訴え続けたことが目立ちました。スタジオでの討論やパネルを使った演出が当たったのと、他局にくらべて芸能ニュースの扱いが少なかったことも視聴者獲得につながったようです」(スポーツ紙芸能デスク)
番組スタッフもそうした手応えを感じているのだろう。小川覚司チーフプロデューサーは年間視聴率について「トップとなれたのは視聴者の皆さんの『知りたい』に応えること、難しいことを分かりやすく伝えることに羽鳥キャスターはじめスタッフが一丸となって取り組んだ証しだと考えています」とのコメントを発表している。
だが、コロナ特集では「危機をあおりすぎ」との批判も少なからずあった。
「玉川氏と白鴎大教授の岡田晴恵氏とのやりとりは賛否両論、話題となり、岡田教授には『コロナの女王』との異名までついた。玉川氏はPCR検査がらみの発言で謝罪するなど、突っ走りがちな部分がある。本人もスタッフもそれを分かった上で続けている節があり、これはネットでの批判まで話題づくりに生かす炎上商法を彷彿とさせます」(マスコミ関係者)
では、内情はどうなのか。長く民放の番組制作にかかわるプロデューサーが言う。
「年間視聴率では日テレ系『スッキリ』はテレ朝に水をあけられたと思ってはいないと思います。ターゲットを若い視聴者に絞る戦略が当たっているし、各局とも若い世代狙いにシフトしている。そうしたなか『モーニングショー』はシニア世代までターゲットにしています。健康をはじめ、終活、移住といった中高年向けのネタが目立つし、それらをゆったり見ていられるような流れをつくっている。若い層はザッピングしますが、シニア層はいったんつけたチャンネルはあまり替えない。つまり、シニア層に視聴習慣をつければある程度の数字が担保できるわけで、そのための戦略を立てているのでしょう」