高い煙突から下りられなくなった自分に気づいていない若者
それはnoteという、誰でも活字で思いを書けて、なおかつ投げ銭を募れるブログのようなサイトに、彼が書いた文章だった。
キングコング西野くんのオンラインサロンに参加している彼は、そこで「映画チケットと台本を原価で購入して利益をのせて売る」というシステムを知り、1部3000円で購入する。
言っておくが、これは合法でマルチ商法ではない。映画の販促になり会員も儲かるというウィンウィンのやり方だ。しかし彼は仕事を辞めたばかり、失業保険を24万もつぎ込み、なんと80セットも購入してしまうのだ。
彼は地方から「何かやれる」と信じて上京した24歳の若者だ。仕事は派遣会社の営業。悪くはない。しかし、あふれるほどのビジネス書を読み漁り、さまざまなオンライン上のセミナーを体験するうち、「自分も金融や保険をわかりやすく発信する仕事」をしようと考える。ここらへんから少し雲を掴むような話になってくる。
Facebookで知った「夢を語り合う会」に参加し、きらめくような人たち(本人談)に出会い、マルチ商法のオンラインビジネスにハマり、「これだ」と思った彼は、あろうことか会社を辞めてしまう。しかし、毎朝早起きしてカフェで勉強するはずの計画はすぐに頓挫、プログラミング言語は2週間、日記は3日でやめる。