ゴミ出しができない高齢者 20世帯に1世帯はゴミ屋敷に…
「ゴミ屋敷」と聞けば、ワイドショーの定番の、ゴミをため込み、取材するインタビュアーに水をぶっかけて追い返す変わり者の住人を思い浮かべる。
つまり、ゴミを捨てられるのに、わざと捨てない異常な人間の仕業だと思っていた。
ところがそうではないゴミ屋敷もある。いやこれは、あなたの実家が、「久しぶりに帰ったらゴミ屋敷になっていた」ということもあり得るという話なのである。
年を重ね、身体機能や認知機能が衰えることにより、ゴミ出しができず、家にため込んでしまう。そんな“ゴミ出しができない高齢者”がいま問題になっているのだ。
「ルポ ゴミ屋敷に棲む人々」(幻冬舎)の著者、岸恵美子東邦大学大学院教授の語るところによると、ある女性は一人暮らしの83歳の母の家に帰った。日頃から電話で「元気。大丈夫」と言われ安心していたら、実家はゴミだらけ、ネズミが走り回っていた。腰痛の悪化で掃除もゴミ出しもできなくなっていたのだ。