追悼・坂本スミ子さん 本紙で語った「楢山節考」仰天エピ
出演映画「楢山節考」が1983年のカンヌ国際映画祭で最高賞「パルムドール」を受賞、「ラテンの女王」といわれた坂本スミ子さん(享年84)が23日、脳梗塞で亡くなった。
坂本さんは熊本で「聖母幼愛園」の園長を務め、時に上京してタレント活動を続け、歌手で一人娘の石井聖子さんとともに何度も取材に応じてくれた。
印象的なのは2018年に日刊ゲンダイ連載「私の酒人生」のインタビューで語ってくれたエピソード。
まず「『楢山節考』のおりんという役は歯を抜かないと主人公にはなれないと台本を読んだ時に思いました。それで抜いたら、みんなに驚かれました」と前歯4本を抜いて挑んだことを語った。
受賞は予期せぬことで授賞式のステージにいたのは坂本さんだけだった。
「あれは私一人で行きました。(息子役の)緒形拳は大河ドラマの収録に入っていてダメ。それで東映の岡田茂社長に『カンヌに行くくらいのお金は出してよ』って言って(笑い)。その頃のカンヌ国際映画祭はレッドカーペットもありませんし、派手な衣装を着た女優さんもいなかった。今と違って地味なフランスの映画祭だったんです。私は着物を表彰式用とパーティー用を持って行きました。その頃、太地喜和子がうどんのCMで着ていたのが素晴らしくて『あんた、その着物ええな。どこで借りたん?』って聞いて、彼女に紹介してもらって奇麗な着物を借りることができました」