歌手・女優の坂本スミ子さん パルムドール表彰式の思い出
“ラテンの女王”として音楽界で人気を博する一方で、女優としては老婆役を演じた映画「楢山節考」(1983年)が第36回カンヌ国際映画祭でグランプリ(パルムドール)を受賞して話題になった坂本スミ子さん。今も思い出すお酒にまつわるエピソードを語ってくれた。
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坂本スミ子とアイ・ジョージのコンビの公演で、日本全国を4度も回りました。365日のうち300日は地方回りでしたね。冬なんか、地方の小学校の体育館でコンサートをやると、暖房なんかなくて、風がピューピュー窓から入ってとっても寒い。それでコンサートが終わるとすぐプレーヤーと一緒に飲み屋に行って、コップで熱燗の地酒をカンカンカンと飲むんです。“打ち上げ”というような派手なのではなくて、カボチャとかジャガイモを煮たものを食べながら、質素にね。そこでは自由気ままに音楽の話をしていました。それが楽しかった。
ところが、役者の場合は事情が違うのね。「楢山節考」の撮影の時は1年ほど山の中に役者さんもスタッフもみんな一緒に住みました。集まって酒を飲んでいると芝居の話になって、役者さんはそういう時になぜか屁理屈を言うのね。私はそれが好きじゃない。イヤやねん(笑い)。