ガンバルマンズの思い出 笑いたいけど笑えないヅラ事件
その日のガンバルマンズの挑戦は空手であった。先生を務めてくれたのは決して名のある有名空手家という方ではなく、日々空手の鍛錬を地道に積み重ねている清く正しい武道家の師範であった。師範であるから武術的な精神力の強さは半端ではないのであろうが、誠に残念なことにテレビに出演して日本中の人から目を向けられるということに対しての精神力は、冒頭に登場した田舎のパーマオバちゃん級であったのだった……。
「俺、日本中の人に見られちゃうんだー!!」と考えただけで師範は心が舞い上がる収録前の日々だったのだろう……しかし、上がっているのは心だけでなく、「頭がハゲ上がっていた」のだ!!
田舎のオバちゃんなら前日のパーマですべてはことなきを得たのだったろうが……空手師範の場合は美容院というわけにも……というかホント前日ギリギリまでかぶろうか? かぶるまいか?
悩んだことが裏目に出たような気がするのだ。
何がいったい師範に起きたのか!? ズバリ申してしまうと……師範が空手の蹴りなどを披露するたびに髪の毛がクルリ! 額にかかった前髪がなびくとか揺れるとかではなくて、頭部にしっかりと毛根で食い込んでいるはずの毛髪の全体が一斉にクルリ! わかりやすく説明すると、右足で回し蹴りをすると左の七・三分けだった分け目が右の七・三分け辺りに一瞬にして瞬間移動をするのだった。