感染症が拡大する中での人間の葛藤や希望を描く
流行感冒(NHK・BSプレミアム/4月10日・土 午後9時~)
過去にパンデミックを引き起こした感染症を題材とした文学作品は多い。
ペストの恐怖に支配された1940年代の仏領アルジェリアの小都市に暮らす人々の姿を描いたアルベール・カミュの寓意的小説「ペスト」、ペスト蔓延に見舞われた1665年の英国ロンドンの日常を活写したダニエル・デフォー(「ロビンソン・クルーソー」の著者として知られる)のドキュメンタリー小説「ペストの年に関する記事」などが有名だ。
日本では、約100年前に世界中で当時の全人口の4分の1にあたる5億人が感染し、1億人以上が死亡したとされる「スペイン風邪」をテーマに、「小説の神様」と言われた志賀直哉が書いた短編小説「流行感冒」がある。雑誌「白樺」の1919年(大正8年)4月号に「流行感冒と石」の題名で発表され、後に改題された。
NHKがこの小説を原作に制作したドラマ「流行感冒」が今週末、BSプレミアムで放送される。
スペイン風邪は当時、日本でも猛威をふるい、1918年からの3年間で、関東大震災の犠牲者の4倍の約40万人の死者が出たという。