2代目襲名を初代の十三回忌に合わせようとしたら反対され
平成15年、2代目幸枝若襲名が決まった福太郎は、その相談のため吉本興業へ赴いた。
「社員の中で一番仲良くしてもらってた方を訪ねると、部長に出世してて、襲名の話をすると大変喜んでくれました。初代の十三回忌に合わせて11月にやるつもりと言ったら『そらあかん』と言う。『十三回忌に福太郎2代目幸枝若襲名やったら福ちゃん脇役やで。初代が主になってしまう』と。『来年、いくつになる?』と聞かれたので『4月でちょうど50です』と言うたら、『それやったら4月にやろう。50歳の転機、2代目幸枝若襲名披露興行、初代十三回忌追善と銘打つんや』と言います。それはいいと、翌年に決めました」
平成16年4月、披露興行は吉本系の劇場では最も大きい、なんばグランド花月で開催された。初代からのファンである私は、大阪まで見に出かけた。会場を取り巻くように並ぶ花輪の数と、会場が超満員なのに驚いた。東京では考えられないことだ。初代そっくりの芸に、私は満足して帰京した。
「おかげさまでお客さまがよく入ってくれました。初代のごひいきが応援して下さったのでしょう」