「もっと広めなあかん」浪曲消滅への危機感から定期公演を
この欄に浪曲師が登場するのは初めてである。2代目京山幸枝若は関西の浪曲師団体、浪曲親友協会会長で、「声」「節」「タンカ(語り)」の三拍子そろった名人だ。近年は東京でも独演会を開き、昨年、文化庁芸術祭に参加、見事、大衆芸能部門の大賞を受賞した。そこで、実父であり師匠でもある初代幸枝若のことも含めて大いに語ってもらった。まずは今回の受賞について伺おう。
「5年前から東京で、年2回の独演会をやってまして、『会津の小鉄』という侠客ものの連続読みと、もう1席はお楽しみで、いろいろやらせてもろうとります。受賞した公演では初代の十八番、左甚五郎ものの『千人坊主』をやりました。甚五郎の中では最も節が長くて、しんどいネタなんです」
東京では、弟子の京山幸太、女流の春野恵子と「浪曲ざんまい」なる定期公演も催している。
「このままやと、浪曲がなくなってしまう。もっと広めなあかん」いう危機感から、大阪で始めた会なんです。毎月第4火曜に、桂ざこば師匠がつくった西成区の動楽亭で開いてます。上がりは全部プールしておいて、それを資金に、お江戸上野広小路亭で定期公演を続けてます。こちらは常に赤字ですから」