組織委の露骨な人種差別を告発!アフリカ系パフォーマーが開会式出演を排除されていた
五輪憲章をガン無視した組織委
「Why Japanese People!?」と叫ばれてもおかしくないほど問題噴出の東京五輪が、23日開会した。障害者イジメ、ホロコーストの揶揄に続き、今度は大会組織委員会による露骨な人種差別が発覚。もうメチャクチャだ。
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〈オープニングセレモニーに出演しなくて本当によかった〉
〈人権や多様性を尊重するはずのオリンピックなのに、5月になって突然、決まっていた出演に対しJOC(後に組織委と訂正)が一方的に私の出演をキャンセルした。理由は「なんでここにアフリカ人が?ってなる」だからだそうです。これって差別では?〉
組織委による人種差別をこう告発したのは、開会式でパフォーマンスを予定していたパーカッショニストのラティール・シーさんだ。ラティールさんはセネガル出身。アフリカの太鼓「ジェンベ」を用いた伝統音楽のプロミュージシャンで、2002年の日韓W杯、サッチャー英首相やミッテラン仏大統領の歓迎式典といった大舞台に立ってきた実力者だ。
日本でも、音楽番組への出演や企業CMのBGMを担当するなど幅広い活動で知られる。19年には天皇出席の「第3回野口英世アフリカ賞授賞式及び記念晩餐会」で、日本やアフリカの子どもたちと一緒に演奏を披露。四半世紀以上にわたって日本の音楽業界に貢献してきた。
そんな一流パフォーマーに組織委が突き付けたのは、あまりにも露骨な人種差別。ラティールさんはフェイスブックで〈未だに日本の社会は「見た目が日本人であること」が重要ってこと?オリンピックの精神である多様性を尊重って、一体どこが??>と指摘した。
日刊ゲンダイが改めて話を聞くと、「話が大きくなり、予想外の展開にショックで複雑な気持ち」としつつ、やり切れなさをこう明かした。
「自分が立つはずだった出番にはタップダンサー熊谷和徳が」
「セレモニー(開会式)を拝見しましたが、『多様性を表現しています』という表現の舞台で、世界的なタップダンサー熊谷(和徳)と紹介されたダンスのところに、本来であれば舞台に立つ予定でした。何が多様性なのか、シラけてしまいました。組織委には、五輪精神の多様性の真の意味を理解していただきたいですし、国際的な感覚として非常に受け入れがたい今回の対応に、子どもたちの未来のためには、より良い社会になってほしいので、社会全体で考えていく機会になればと願っています」
あらゆる差別を許さないとうたう五輪憲章に反するこの判断について、組織委に見解をただしたが、期限までに回答はなかった。ラティールさんを排除した組織委が、平然と「平和の祭典」を取り仕切る厚顔無恥には言葉を失う。
「人権意識の後進性が露呈した由々しき事態です。とりわけ安倍政権以降、過去の植民地主義や慰安婦問題などをめぐる揺り戻しが続いており、日本のレイシズムは悪化の一途です。麻生財務相の『ナチスの手口に学べ』発言が象徴的ですが、国際感覚に逆行した言動が見過ごされてきた結果、日本はますます人権規範の緩い国になってしまったのです」(高千穂大教授の五野井郁夫氏=国際政治学)
今からでも遅くはない。規範すら守れない五輪なんか、さっさと中止した方がいい。