組織委の露骨な人種差別を告発!アフリカ系パフォーマーが開会式出演を排除されていた

公開日: 更新日:

五輪憲章をガン無視した組織委

「Why Japanese People!?」と叫ばれてもおかしくないほど問題噴出の東京五輪が、23日開会した。障害者イジメ、ホロコーストの揶揄に続き、今度は大会組織委員会による露骨な人種差別が発覚。もうメチャクチャだ。

【写真】この記事の関連写真を見る(22枚)

 ◇  ◇  ◇

〈オープニングセレモニーに出演しなくて本当によかった〉

〈人権や多様性を尊重するはずのオリンピックなのに、5月になって突然、決まっていた出演に対しJOC(後に組織委と訂正)が一方的に私の出演をキャンセルした。理由は「なんでここにアフリカ人が?ってなる」だからだそうです。これって差別では?〉

 組織委による人種差別をこう告発したのは、開会式でパフォーマンスを予定していたパーカッショニストのラティール・シーさんだ。ラティールさんはセネガル出身。アフリカの太鼓「ジェンベ」を用いた伝統音楽のプロミュージシャンで、2002年の日韓W杯、サッチャー英首相やミッテラン仏大統領の歓迎式典といった大舞台に立ってきた実力者だ。

 日本でも、音楽番組への出演や企業CMのBGMを担当するなど幅広い活動で知られる。19年には天皇出席の「第3回野口英世アフリカ賞授賞式及び記念晩餐会」で、日本やアフリカの子どもたちと一緒に演奏を披露。四半世紀以上にわたって日本の音楽業界に貢献してきた。

 そんな一流パフォーマーに組織委が突き付けたのは、あまりにも露骨な人種差別。ラティールさんはフェイスブックで〈未だに日本の社会は「見た目が日本人であること」が重要ってこと?オリンピックの精神である多様性を尊重って、一体どこが??>と指摘した。

 日刊ゲンダイが改めて話を聞くと、「話が大きくなり、予想外の展開にショックで複雑な気持ち」としつつ、やり切れなさをこう明かした。

「自分が立つはずだった出番にはタップダンサー熊谷和徳が」

「セレモニー(開会式)を拝見しましたが、『多様性を表現しています』という表現の舞台で、世界的なタップダンサー熊谷(和徳)と紹介されたダンスのところに、本来であれば舞台に立つ予定でした。何が多様性なのか、シラけてしまいました。組織委には、五輪精神の多様性の真の意味を理解していただきたいですし、国際的な感覚として非常に受け入れがたい今回の対応に、子どもたちの未来のためには、より良い社会になってほしいので、社会全体で考えていく機会になればと願っています」

 あらゆる差別を許さないとうたう五輪憲章に反するこの判断について、組織委に見解をただしたが、期限までに回答はなかった。ラティールさんを排除した組織委が、平然と「平和の祭典」を取り仕切る厚顔無恥には言葉を失う。

「人権意識の後進性が露呈した由々しき事態です。とりわけ安倍政権以降、過去の植民地主義や慰安婦問題などをめぐる揺り戻しが続いており、日本のレイシズムは悪化の一途です。麻生財務相の『ナチスの手口に学べ』発言が象徴的ですが、国際感覚に逆行した言動が見過ごされてきた結果、日本はますます人権規範の緩い国になってしまったのです」(高千穂大教授の五野井郁夫氏=国際政治学)

 今からでも遅くはない。規範すら守れない五輪なんか、さっさと中止した方がいい。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    松本人志「事実無根」から一転、提訴取り下げの背景…黒塗りされた“大物タレント”を守るため?

  2. 2

    島田洋七が松本人志復帰説を一蹴…「視聴者は笑えない」「“天才”と周囲が持ち上げすぎ」と苦言

  3. 3

    人気作の続編「民王R」「トラベルナース」が明暗を分けたワケ…テレ朝の“続編戦略”は1勝1敗

  4. 4

    小泉今日子×小林聡美「団地のふたり」も《もう見ない》…“バディー”ドラマ「喧嘩シーン」への嫌悪感

  5. 5

    兵庫県知事選・斎藤元彦氏の勝因は「SNS戦略」って本当?TV情報番組では法規制に言及したタレントも

  1. 6

    松本人志が文春訴訟取り下げで失った「大切なもの」…焦点は復帰時期や謝罪会見ではない

  2. 7

    窪田正孝の人気を食っちゃった? NHK「宙わたる教室」金髪の小林虎之介が《心に刺さる》ファン増殖中

  3. 8

    井上真央ようやくかなった松本潤への“結婚お断り”宣言 これまで否定できなかった苦しい胸中

  4. 9

    菊川怜が選んだのはトロフィーワイフより母親…離婚で玉の輿7年半にピリオド、芸能界に返り咲き

  5. 10

    福山雅治は自宅に帰らず…吹石一恵と「6月離婚説」の真偽

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    西武ならレギュラー?FA権行使の阪神・原口文仁にオリ、楽天、ロッテからも意外な需要

  2. 2

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動

  3. 3

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  4. 4

    兵庫県知事選・斎藤元彦氏の勝因は「SNS戦略」って本当?TV情報番組では法規制に言及したタレントも

  5. 5

    小泉今日子×小林聡美「団地のふたり」も《もう見ない》…“バディー”ドラマ「喧嘩シーン」への嫌悪感

  1. 6

    国内男子ツアーの惨状招いた「元凶」…虫食い日程、録画放送、低レベルなコース

  2. 7

    ヤンキース、カブス、パドレスが佐々木朗希の「勝気な生意気根性」に付け入る…代理人はド軍との密約否定

  3. 8

    首都圏の「住み続けたい駅」1位、2位の超意外! かつて人気の吉祥寺は46位、代官山は15位

  4. 9

    兵庫県知事選・斎藤元彦氏圧勝のウラ パワハラ疑惑の前職を勝たせた「同情論」と「陰謀論」

  5. 10

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇