<18>“30億円を貢いだ男”の本は売れない? 逆転で出版が決まった第1弾
本は16年12月の年の瀬も押し迫った頃に出版された。ちょうどこの頃に大下さん(仮名)の娘さんのコンサートが恵比寿で催されて、私はコンサート後のパーティーにも出た。そこにはドン・ファンと当時の若い愛人も出席していた。背の高い女性で25歳ぐらいだったと記憶しているが、17年の正月も彼女は田辺に呼ばれて一緒に過ごしている。
■因縁の相手と初対面
「とてもとても結婚なんて考えられませんから」
彼女は何度か私に電話をしてきて愚痴をこぼしたことがあった。
「それならあまり深入りをしないほうがいいですよ」
私はそのように助言をしたが、ドン・ファンとの結婚で悩むのだから性格は素直な方だったのだ。
パーティーには講談社のドン・ファン本の担当編集者や私と古くから仲の良かった編集者のKさんも顔を出した。ドン・ファンは18年5月24日の夜に亡くなったが、その夕方に都内の居酒屋で私と飲んでいた相手である。