五木ひろしの光と影<6>野口修は沢村忠と五木ひろし…ジャンル違いのスターを生み出した
筆者が平尾昌晃と初めて出会ったのは、2010年秋、芸能リポーター・梨元勝の「お別れの会」である。筆者はテレビ番組やインターネット配信を通じて何度か梨元と仕事をする機会があった。野口修についてただしたこともある。「ごめん、俺、野口プロはあんまり付き合いなくて」と言われた。「芸能リポーター」という職業を確立させ、お茶の間を賑わせたトリックスターの弔いとあって、出版、放送関係者はもちろん、著名人の姿も数多く見られた。弔辞を述べたのはショーケンである。思えばみんな鬼籍に入ってしまった。
式次が一通り済むと、別室で懇親会が開かれた。そこに平尾の姿があった。この時期、すでに「沢村忠に真空を飛ばせた男」の取材を開始していた筆者は「平尾先生にも取材アポを取らないと」と考えていた。その矢先の邂逅に我が意を得る思いで、今でもあれは「俺にはこれくらいしか出来ないけど」と梨元が引き合わせてくれたものと信じている。