著者のコラム一覧
吉田隆記者、ジャーナリスト

1984年に写真週刊誌「FRIDAY」の創刊準備メンバーとして専属記者契約を結ぶ。87年の大韓航空機爆破事件では、犯人の金賢姫たちが隠れていたブダペストのアジトを特定、世界的に話題となる。初代「張り込み班チーフ」として、みのもんたや落合博満の不倫現場、市川染五郎(現・松本幸四郎)や石原慎太郎の隠し子、小渕恵三首相のドコモ株疑惑などジャンルを問わずスクープ記者として活躍。

<97>葬儀の翌日に行われた早貴被告の事情聴取は13時間にも及んだ

公開日: 更新日:

「へえ、そうなんですか。多分、感情の起伏を調べようとしているんでしょうね」

 私にとっても興味深かった。

「野崎幸助さんを殺しましたか--いいえ。お金は好きですか--いいえ。覚醒剤を見たことがありますか--いいえ。って、こんな質問が続くのよ」

 リアルな取り調べ内容に少し驚いた。

「でね、野崎幸助さんは好きですか--はい、って答えたら、『いいえと言って下さい』って注意をされたんで頭にきて、『社長とは仲がいいんだから』って逆らってやったのよ。失礼しちゃうでしょう?」

 この頃の大下さんは物忘れがひどくて、買い物に行っても肉やイチゴを買い忘れて戻って来たこともしばしばだった。あまりにミスが多いので、手のひらにサインペンでメモしたりもしていた。

「大下さん、認知症が入っているんやないか?」

 生前のドン・ファンに、からかわれていたものである。

「そりゃあ、ワシも大下さんの記録を見たいなぁ~。さぞかしブレブレのグラフになってたんやないかな」

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