<28>「写真はNGです」早貴被告は構えるカメラに舌打ちした
2017年12月10日、須藤早貴被告は1人で野崎幸助さんに会いに来た。和歌山県田辺市にあるドン・ファンの自宅のリビングでは、番頭役のマコやんが甲斐甲斐しくワインやビールなどをテーブルに並べたり、お寿司の皿や醤油などを運んだりしていた。
「あなたがワインが好きだというので、準備をしていたんですよ」
ドン・ファンがにこやかに声をかけたが、早貴被告は戸惑いの表情を浮かべるだけで、お礼の言葉すら出なかった。
「モデルさんなんですって? どこの媒体なんですか」
「ViVi」とか「With」や「CanCam」のような名の知れたファッション雑誌に出ているとは思っていなかったが、空気を変える意味もあって私が聞いた。
「日本ではなくて、中国や中東でのファッションショーに出ているんです」
「中東?」
「ドバイなどに行きますよ」
「へえ、そうですか。そりゃあ凄いですね」