<160>早貴被告と弁護士らを追い込む妙案 「会社法違反」と「詐欺罪」で刑事告訴
王手飛車取りのようなダブルの攻めをする素案であった。さすがはストレートで東大法学部に入って弁護士になった秀才は、私のような凡才とは違った発想をするものだ。しかし、この時点では裁判所の検認を受けていないから遺言が有効と認められていない。
「ウ~ン。少し強引のような気がするけれどなぁ」
私は何度も告訴状を読み返した後で感想を漏らした。凡才も一言文句を言いたかったのである。
「まあ、警察が理解できるかどうかでしょう。これを警察に告発したいんですけれど、妙案はありませんか?」
松永クンは自信がありそうだったが、警察にパイプを持ったほうがより話が進むと判断していたようだ。
告発人をアプリコの番頭格マコやんにするという考えは我々で一致していたので問題はない。以前から私はマコやんがアプリコの監査役である立場を利用して、アプリコの臨時株主総会の議事録を手に入れて研究していたし、マコやんも、この9月6日の振り込みが不正であるとの認識を持っていたので告発に賛成してくれた。