元タレント森下千里さん「今後も国政選挙が目標」と明言 立候補決意から現在までを語る

公開日: 更新日:

森下千里さん(政治活動家、元タレント/40歳)

 レースクイーンからタレント、そして昨年、衆議院総選挙に宮城5区から出馬して注目された森下千里さん。宮城県石巻市に移住して初の選挙に挑んだ理由と政治活動の苦労話、そして選挙後も辻立ちを続ける現在を聞いた。

 ◇  ◇  ◇

 タレントの仕事を一生懸命やっていた20代の頃とは違い、30代になると政治への関心が膨らみました。

 大きかったのは立候補するちょうど10年前の震災の年です。東京などにいた私の知人の多くが石巻に移住されたんです。自分の財をなげうったり仕事や地位を捨ててまでしてボランティア活動を始める人が多くて。中には移住して会社を立ち上げて経営する人もいました。その会社では雇用を生み出して、今も頑張っています。

 自分の仕事や生活があるのに、移住してのボランティアや、ボランティアを集める旗振りの活動をするのはなかなかできないと思いますし、継続的には続かないですよ。

 私は移住はしていなかったのですが、石巻に出かけてそういう知人の姿を見たりお話を聞いたりして感動したんです。「自分も行動できる人間になりたい」といつも考えていましたよ。

猫1匹をリュックに入れてお引っ越し

 宮城県第5区の方に知り合いがいたご縁で、私が政治をやりたいと言うと面接を何度も行ってくれて、立候補予定者にしていただくことになったんです。それが昨年の3月で、翌4月には政治活動のために石巻市に移住しました。

 その時は猫1匹をリュックに入れてお引っ越し(笑い)。最初は食生活が悲惨でした。コロナ禍ですからお店がやってなくて、活動が終わった時間にはスーパーも閉まっていて食材が買えない。挨拶回りの際に農家さんから葉野菜というか葉っぱをもらえたり、ご家庭におじゃますると、「生えちゃったのよね~」とおうちの玄関に生えたルッコラとか、いただいたものを食べていました。石巻の方はおまんじゅうやおせんべいといろいろ持たせてくれるんです。

 辻立ちは6月からの4カ月間で1600回ほどやりましたから、1カ月約400回。立てる日は何十回とやりますが、例えばお盆の時期にスピーカーでしゃべっているのは失礼ですから、できない1週間もありました。

 体力的にしんどかったのは選挙期間ではなかったけど、夏にチラシをポスティングして走り回った時ですね。1日1000軒以上ですから、朝起きると体が痛い。「毎日が運動会だ」と思っていました。選挙期間中には足を引きずっていた時もありましたが、病院に行く暇はありませんからね。

 苦労したのはスタッフの人集め。事務所も含めお膳立てされているわけではないので、少ない人数で活動し、自分でも経理など事務作業もやっていました。お金はもちろんかかります。ポスター1000枚で50万円くらいとか。

 政治活動には自分のお金も出していましたが、寄付がないと大変だとは思います。選挙になればポスターなどは公費負担になりますけど。

■アポなし番組で度胸は鍛えられた

 でも、選挙中もその前もイヤな思いはありませんでした。お宅に挨拶で訪ねても、地元のみなさんはみんな温かくて。

 それに私がタレントだった頃はアポなし番組がはやりで、「田舎に泊まろう!」(テレビ東京系)など突撃番組に出させていただいてましたから、度胸は鍛えられていたと思います。

 見ず知らずの私に訪ねてこられるのは地元の方には迷惑でしかないですから、申し訳ない気持ちで「聞いてください」と丁寧にお願いすると、みなさん聞いてくださいました。

 選挙後も引き続き活動し、今後の目標も国政選挙です。実は移住数カ月後に母も移住してくれて選挙中も手伝ってくれていました。「私一人では無理だから手伝ってほしい」とお願いしたら、私が親に何かを頼むことが一度もなかったので、驚いて飛んできてくれたんです。人生の一大事と思ってくれたみたい。今一緒に暮らしてくれています。

 運動はもちろん地元の方の助けがないと活動はできない。活動地域にたくさんの知り合いができて、落選した翌日に辻立ちしていると、「落選したから帰っちゃったと思っていました。残ってくれてよかった!」と言ってくださる方もいてうれしかった。私はもう「戻る」という感覚はなくて住んでいる石巻を中心に頑張っていきます。

(聞き手=松野大介)

▽森下千里(もりした・ちさと) 1981年9月、愛知県生まれ。2001年にレースクイーンとして活動を開始。その後タレントとしてバラエティーなどで活躍。21年10月の衆院選に自民党から宮城5区に立候補。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  2. 2

    中居正広の騒動拡大で木村拓哉ファンから聞こえるホンネ…「キムタクと他の4人、大きな差が付いたねぇ」などの声相次ぐ

  3. 3

    木村拓哉は《SMAPで一番まとも》中居正広の大炎上と年末年始特番での好印象で評価逆転

  4. 4

    中居謝罪も“アテンド疑惑”フジテレビに苦情殺到…「会見すべき」視聴者の声に同社の回答は?

  5. 5

    中居正広9000万円女性トラブル“上納疑惑”否定できず…視聴者を置き去りにするフジテレビの大罪

  1. 6

    中居正広はテレビ界でも浮いていた?「松本人志×霜月るな」のような“応援団”不在の深刻度

  2. 7

    フジテレビは中居正広で“緊急事態”に…清野菜名“月9”初主演作はNHKのノンフィクション番組が「渡りに船」になりそう

  3. 8

    中居正広の女性トラブルで元女優・若林志穂さん怒り再燃!大物ミュージシャン「N」に向けられる《私は一歩も引きません》宣言

  4. 9

    若林志穂vs長渕剛の対立で最も目についたのは「意味不明」「わからない」という感想だった

  5. 10

    中居正広「女性トラブル」に爆笑問題・太田光が“火に油”…フジは幹部のアテンド否定も被害女性は怒り心頭

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    相撲協会の逆鱗に触れた白鵬のメディア工作…イジメ黙認と隠蔽、変わらぬ傲慢ぶりの波紋と今後

  2. 2

    中居正広はテレビ界でも浮いていた?「松本人志×霜月るな」のような“応援団”不在の深刻度

  3. 3

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 4

    《2025年に日本を出ます》…團十郎&占い師「突然ですが占ってもいいですか?」で"意味深トーク"の後味の悪さ

  5. 5

    ヤンキース、カブス、パドレスが佐々木朗希の「勝気な生意気根性」に付け入る…代理人はド軍との密約否定

  1. 6

    中居正広の女性トラブルで元女優・若林志穂さん怒り再燃!大物ミュージシャン「N」に向けられる《私は一歩も引きません》宣言

  2. 7

    結局《何をやってもキムタク》が功を奏した? 中居正広の騒動で最後に笑いそうな木村拓哉と工藤静香

  3. 8

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  4. 9

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  5. 10

    高校サッカーV前橋育英からJ入りゼロのなぜ? 英プレミアの三笘薫が優良モデルケース