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吉田隆記者、ジャーナリスト

1984年に写真週刊誌「FRIDAY」の創刊準備メンバーとして専属記者契約を結ぶ。87年の大韓航空機爆破事件では、犯人の金賢姫たちが隠れていたブダペストのアジトを特定、世界的に話題となる。初代「張り込み班チーフ」として、みのもんたや落合博満の不倫現場、市川染五郎(現・松本幸四郎)や石原慎太郎の隠し子、小渕恵三首相のドコモ株疑惑などジャンルを問わずスクープ記者として活躍。

<170>「ドン・ファンを殺したのは早貴」公衆電話から突然かかってきた謎の電話

公開日: 更新日:

 2020年の12月20日は日曜日であった。夕方に自宅のリビングで一人のんびりと本を読んでいると、横に置いてあった携帯電話が鳴った。画面の表示は「公衆電話」である。身元を明らかにしたくない相手からだと推測し、嫌な予感がした。

「はい」

 そんな時はこちらの名前は話さず、ただ返事だけをするのが、私のやり方だ。

「吉田さんの携帯電話ですか?」

 30代半ばから40歳ぐらいの落ち着いた雰囲気のある男性の声だった。

「おざきさき、って知っていますよね?」

 電話の調子が悪いのか、滑舌が悪いのか分からないが、「おざき」と聞こえた。

「はあ? 知らないよ?おざきさき?」

「いえ、野崎早貴です。ドン・ファンの……」

「野崎早貴? 違うんじゃないの?」

 いたずら電話か、とも思って冷たい口調で答えた。

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