<173>チクリ主の要望で早貴被告の「ドバイ移住計画」を「フライデー」に掲載した
「ドン・ファンの妻がドバイへ移住計画」
このような記事が掲載されたのだ。ネタ元のことは記さず、早貴被告の関係者が言っている体裁にした。本来は「ドバイへ逃亡計画」という見出しにしたかったが、まだ犯罪者ではないので「移住計画、来年4月にも」というふうにしたのだ。世間で評判になるような記事ではないが、これはネタ元に対してのシグナルだと割り切った。
だが、ネタ元からの電話連絡は全くなかった。約束を守ったのに、なんで連絡をよこさないんだ。私は四六時中携帯電話をチェックしていたが、残念ながら鳴ることはなかった。
「悪いけど、協力してもらえないかな?」
私はネタ元が本誌を見ていない可能性もあると考えて、FRIDAYデジタルのS編集長に頼み込むことにした。生前のドン・ファンと会ったこともある彼は、ドン・ファン自伝を絶対に話題になると推薦してくれた恩人でもあり、ドン・ファン事件についても詳しい。
「へえ、そんなことがあったんですか。そりゃあ、すごい。一体誰ですかね」
S編集長も私の話を聞いて興奮を隠しきれなかったが、すぐに「ドバイ移住計画」のデジタル版を掲載させてくれたのであった。
しかし、それでも、あのネタ元からの連絡はなかった。 =つづく