向島の料亭「櫻茶ヤ」さんで長唄の会を催しました!
東京にも京都のような花街はある。新橋・赤坂・神楽坂・芳町・浅草・大塚・八王子……中でも向島には現在も100人以上の芸者、半玉がいる。お座敷遊びはなんとなく敷居が高く利用するきっかけが難しいが、ご常連さんの口利きで向島・下町老舗料亭「櫻茶ヤ」さんで、なんと長唄の会を開くという夢のような経験ができた。
2000年から始めた長唄。ギターやウクレレなど弦楽器が好きだったので三味線にも挑戦。それにより教育テレビで“いろはに邦楽”という番組を担当し、三味線・琴・尺八・笛・おはやし他、さまざまな和楽器の演奏家と共演。おそれ多くも人間国宝の方々とも演奏させていただいた。巡り巡って杵屋勝之弥先生に唄を習うようになるとどんどん楽しくなり、19年春には豚もおだてりゃ名取・杵屋勝之邦を襲名。一門の大きな演奏会にも参加したが翌年からコロナ禍になり発表の場が激減。それでもひたすらに唄の稽古を続けているうちにまた三味線も弾きたくなった。
だが、いっときあんなに夢中で弾いていたのにとても下手くそでびっくりした。櫻茶ヤさんの会が決まり必死で稽古を再開した。隅田川の近くにある昭和8年創業の老舗「櫻茶ヤ」。今回は風情ある大広間で「勝之弥の会」として、唄は師匠・杵屋勝之弥、私の姉弟子・勝之哉、三味線は杵屋裕太郎、裕辰、私はおめでたい“松の緑”は前弾きだけ三味線で後は唄を、今の季節の“菖蒲浴衣”は唄を、“元禄花見踊り”は三味線を、など師匠と並んで座らせていただき3曲を披露。私としたことがど緊張で声がうわずったり三味線もちょこっと間違えたが、とても幸せな時間だった。