友近へのアドバイス「コントをする時に目の前にいると設定している見えない相手・第三者の情報を細かく決める」
友近の巻
初見で“絶対売れると思った4人(ナイナイ岡村、キングコング西野・梶原、友近)”のひとりで、NSCの教え子の中で、彼女以降「絶対売れる!」と確信した生徒はいまだ現れていません。女芸人として、特に面白いコントをやっていたという記憶はありませんが、入学した時から声、表情、彼女自身の存在感がずばぬけていました。理解力があり、適応力もあったので、面白くなるのは時間の問題だと感じていました。彼女に伝えたアドバイスはただひとつ「コントをする時に目の前にいると設定している見えない相手・第三者の情報を細かく決める」ことだけでした。
たとえば、占い師を演じるなら、見ている相手はどんな人なのか、性別はもちろん、年齢、容姿、仕事、家庭環境等々、考えうることを全て考えてボケに使える“アイテム”を増やすことで、いない相手、見えない共演者をお客さんに感じ取ってもらう、想像してもらう、そして「最後は実在していないのに、存在を見てもらえるように考えてみて」ということだけでした。
生徒のことは先入観なく極力フラットに見たいので、経歴などは事前に耳に入れることなく、いつも相対してますが、卒業後に知った彼女の経歴は14歳の時に「全国ジュニア歌謡選抜準優勝」、大学時代には愛媛県代表で「長崎歌謡祭」に出演、地元では人気リポーターとしてレギュラー番組を持ち、後援会まであったことを知り、「やっぱりな……」という思いでした。27歳という遅いNSC入学は、吉本に入るための手段だったんだなと思いました。それは他の生徒たちと意識が違って当たり前だと改めて感じたものです。