観光ポスターを見ながら「長崎は今日も雨だった」を作曲 ヒットメーカー彩木雅夫の心意気
これを聞いて彩木は「若いのに苦労している。何とか報いてやりたい」と思い、一肌ぬぐ気になった。
内山田洋とクール・ファイブが歌ってヒットした「長崎は今日も雨だった」も彩木の作曲である。作詞が永田貴子。
彩木は実はこの歌を作曲した時まで、長崎へ行ったことがなかった。だから、観光ポスターを2枚送ってもらい、それを見ながら曲を作ったのである。
当時まだHBCに勤めていた彩木は最初この話を断ろうと思った。すでに森進一の「命かれても」や「花と蝶」を作曲したヒットメーカーだったが、ご当地ソングというのが好きでなかったからだ。その土地に媚びているような気がした。
長崎生まれ、長崎育ちの永田の熱心な要請に動かされて、彩木もその気になる。当初のタイトルは「長崎の夜」だった。
彩木の札幌の家で打ち合わせをしていた時に外に目をやると雪で、どちらからともなく「長崎は今日も雨だった」にしようとなった。
これが縁となって彩木はその後、北海道の市や町を応援するご当地ソングを、むしろ、積極的に作った。
「メロデアスタウン 美唄」や森進一が歌う「わが故郷は心のふるさと」(夕張市)などで、彩木は「僕の歌がそこの活性化につながれば、こんな幸せはありません」と言っていた。北の大地に根ざした作曲家の心意気だろう。