船越英一郎ら“刑事俳優”揃い踏み 異色ドラマ「警視庁考察一課」を成立させるキャラの強さ
かつて「名探偵登場」というアメリカ映画があった。エルキュール・ポワロ、ミス・マープルなど世界的に有名な架空の名探偵たちのパロディーだ。たとえば「刑事コロンボ」のピーター・フォークが、「マルタの鷹」の探偵サム・スペードもどきを演じており、それぞれが披露する勝手な“迷推理”が笑えた。
月曜深夜の「警視庁考察一課」(テレビ東京系)は、いわば「名刑事登場」である。テレビ各局のサスペンスドラマで活躍してきた俳優たちが、役柄そのままの雰囲気で登場しているからだ。
船越英一郎、内藤剛志、西村まさ彦、名取裕子、高島礼子、そして山村紅葉。このメンバーが協力して捜査すれば、どんな難事件も解決できそうだ。しかし、彼らは事件現場に駆けつけたりしない。所属は大東京警察署の「考察一課」であり、「捜査」ではなく、「考察」するのが仕事なのだ。
捜査一課から分け与えられた、被害者や容疑者に関するわずかな情報を前に、ひたすら考察(推理)という名のカードを切り合う。その結果、IT技術を駆使した真犯人のアリバイを崩し、模倣犯を装った復讐殺人者を突きとめたりしていく。
まるで一幕物の舞台劇みたいだが、彼らの“刑事俳優”としての存在感と演じてきたキャラクターの強さが、この珍品とも言うべき異色の刑事ドラマを成立させている。見るなら、今のうちだ。