郷ひろみ“67歳のトップランナー”の源は「思考も表現も心の柔軟性を大事にしたい」
デビュー50周年を迎え、ツアー、ニューアルバムのリリース、著書の発売とますます精力的に活動する郷ひろみ(67)。60代後半になった今もトップランナーであり続ける発想の源を聞いた。
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毎年全国で100ステージをこなす郷だが、ツアー、ディナーショーなど企画ごとに内容を変え、公演と並行し、複数のリハーサルをこなしている。
「僕自身が飽きないショーをつくりたいので、毎回アレンジも変えるし、たとえツアーの最終日でもベストを模索して変更することもあります。だから8カ月のショーでも飽きないし『残り○回だ……』なんて考えたことが一度もない。気がついたら終わっていたという感じです」
コロナ禍を経て、自身の仕事観に変化はあったのだろうか。
「ひとたびコンサートが始まれば、コロナも病気もケガも関係ない別世界の時間を皆さんに届けるのが僕の仕事ですからね。大変な状況下で来てくださることに感謝このうえないけれど、仕事観に変わりはないかな。客席の皆さんの顔を見れば反応がつぶさにわかるから、毎回“これはすごい!”と思ってもらいたいんです。そうやってステージ構成を常にブラッシュアップすることが僕に緊張感を与えると同時に仕事へのモチベーションにもなっています」
ステージ構成など、どこにこだわるのか。
「思考も表現も“柔軟性”だと思うんです。歌うときは人を寄せ付けないほどの圧倒的な歌唱を見せて、トークではガラッとキャラを変える。緩急がないと見る側が疲れちゃうと思います。人間の体の水分は赤ちゃんで80%ほど、50代を過ぎると50%台になり、年齢とともに肉体の柔軟性が失われてゆくそうです。なるほどと思って、僕は“心の柔軟性”も大事にしたいと考えるようになりました。だから何事も大まかなたたき台はありますが、ガチガチに決めることはしない。音楽自体もテクノロジーも日進月歩ですから、昔できなかった表現が可能になることもありますしね。良くも悪くも軌道修正できる余裕を持たせれば、急に発想の転換を迫られることもないし、ベストを実現できると思うんです」