「うる星やつら」や「おそ松さん」手がけた布川郁司の故郷への想い
自伝めいたこの本に「ギャグ漫画の巨匠」赤塚不二夫に会った時のことが出てくる。
「憧れの人」である赤塚はボロボロのビルにあるフジオ・プロダクションの近くの焼き肉屋にいた。まだ、午後2時ぐらいだったのに、ベロベロの状態で盛り上がっている。
おそるおそる、「おそ松くんのアニメ化をぴえろでやらせてください」と言うと、「いいよ、早くやろうよ」という返事。
布川は「この業界は奇人変人が多い」と書いているが、その横綱のような赤塚に会ったのだから、以後、それほど驚くことはなかっただろう。
この本の第12章は「ブタもおだてりゃ社長になる!?」。そこに酒田が出てくる。
「子供のころから絵を描くことと芝居が大好きで、映画は物心ついた時からよく見ていました。実家は紳士服の仕立屋で、その近くに『グリーンハウス』という映画館があったんです。映画評論家の故・淀川長治さんが『世界一素晴らしい』と絶賛した映画館です。新作が上映されるたびにそこに観に行っていました」