映画「キャロル・オブ・ザ・ベル」の監督に聞く 戦禍のウクライナで製作、公開を続ける理由
新作「キャロル・オブ・ザ・ベル」はまさにタイムリー
──そちらでは、そんな戦禍の中も映画が公開され、観客が訪れていると。
「ええ。攻撃が少ない時は、ほぼ満員だったりします。攻撃が続いていますけど、ずっと怖がってばかりもいられません。それでは耐えられないし、エンタメで少しでも現実を忘れ、息抜きしたいんですね。たとえ戦時下でも、面白いコンテンツを製作し放映する価値があると、夫(俳優アンドリー・イサイェンコ=36)の言っている通りだと思う。私も撮影を続けています」
──映像製作には意義があると。
「私はもともと女優になりたかったのですが、高校の時に監督を志し、19歳から撮っています。子どもたちと協力したり、音楽とも相性が良くて好きなのですが、映像には本当の情報、人間の真実を伝える力があると思う。それらを世に知らしめ、共有してもらうことができますから」
──新作「キャロル・オブ・ザ・ベル」はまさにタイムリーだと評判です。
「ありがたいことに隣国ポーランド、ユダヤ人から好意的に受け止められ、イスラエルの映画祭で上映されるなどして、とても良い反応をいただいています。ポーランドとは、ロシアの政治家の言動などによって、関係が悪化したこともあるのですが、侵攻以来、良好さを取り戻し、ウクライナを支援してくれています。同じ地球上、どの民族も平等で、存在に上下はない。そして皆が一緒に生きるべきなんだ。そして、何があっても生きる。言葉にすると、そんなメッセージになるのですが」
──それだけじゃないと。
「タイトルでもある歌『キャロル・オブ・ザ・ベル』によるところも大きいと思っています。ウクライナではもともと『シェドリック』のタイトルで歌い継がれ、民族のアイデンティティーにもなっている。そこで歌われている幸せ、生活スタイルに希望があるのだと思います」