【きょうの朝ドラおむすびにモヤっと】コロナ禍でもスタンドプレイの結。本編以上に“制作の舞台裏”に興味が湧くばかり
第23週「離れとってもつながっとうけん」#113
【朝ドラのツボ!】
コロナによる緊急事態宣言で飲食店が営業自粛に追い込まれる中、ヘアサロンヨネダを営む聖人(北村有起哉)は店を開けていいのかわからず、市役所勤めの若林(新納慎也)に教えを請う。
一方、オリジナルブランドを立ち上げた歩(仲里依紗)は、在庫を抱えて落ち込んでいるかと思いきや、ネット通販で商品が爆売れして威勢がいい。
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【本日のモヤっと】
ドヤ顔結がまたもやスタンドプレイ!?
※※以下、ネタバレあります※※
「あの、柿沼さん。コロナの患者さんのカルテをみたら、食事の摂取量が少ない人が多くて、免疫機能の低下が心配なんです。それで、ちょっと献立を見直してみたんですが…」
委託会社の管理栄養士・柿沼(しまずい香奈)に話しかけ、なにやら資料を渡す結。この時、一瞬、塚本科長(濱田マリ)が結のほうを見ました。その目は、明らかに「えっなになに? うち聞いてないよ」という目でした。何度かパチクリしていたので。
そんな塚本科長の驚きはさておき、結は、その資料をイシダッチ(吉田剛明)や塚本科長にも手渡し、「献立の栄養価を見直したら、ビタミンDは食材変更でもう少し上げられそうなんです」とドヤ顔。「たとえば…。鱈をビタミンDの多い鮭に変更するとか」と続ける結。その資料を食い入るように見つめる塚本科長、「うんうんうん」と細かく頷き、そして、「柿沼さん、どう思う?」と柿沼に話を振りました。
いやいやいや。献立を見直しは、管理栄養科にとってかなりのトピックだと思いますし、結もまず塚本科長に話をもっていくのが筋ではないのか、と。またもや結のスタンドプレイ。塚本科長、人が良すぎますって。というか、ここは、「米田さん、そういうのはまず、うちに相談してな」と諫めるべきところではないでしょうか。
個人病院ならともかく予算的なことも含めて、いくらコロナで緊急事態とはいえ、改革するのならそれなりの手順を踏まなければならないのは、組織に属したことのある人間なら誰でもわかることです。
「少しでも食べて貰って体力を回復していただきたいんです」。結が柿沼に訴えますが、管理栄養士なら誰もが思っていることで、いまさら結にドヤ顔で訴えられても…。なんか“仕事してます感”を前面に押し出していますが、スタンドプレイにもほどがあります。
「それやったらコロナの患者さんだけやなくて、全患者さんの献立、見直しませんか?」と柿沼。「ありがとうございます」と結。柿沼にそんな権限があるのかとモヤモヤしましたが、次の瞬間には、もう試食になっていました。ヒロインが栄養士だからなのか、「おむすび」というドラマはなにかと試食のシーンが出てきますが、今回も話し合いからどのくらいの時間を経て新メニューが出来上がったのか全くの謎でした。
まだまだ手柄のてんこ盛り続く?
「鮭のちゃんちゃん風ホイル焼きはビタミンDもとれるし、けんちん汁にはきのこも入っていて腸内環境にもいいし、最高ですよね」と結。そんな部下を頼もしそうに見つめ、満面の笑みで何度も頷く塚本科長。
鮭にはビタミンDが、きのこには食物繊維が豊富なのは、管理栄養士の資格など持たなくても知っているし、だったら、最初からその献立にしておけば? という話ですし、もっといえば、これってたかだか一食分の献立です。まさか朝昼晩3食、鮭のちゃんちゃん焼きを出すわけでもなし…。
患者さん一人ひとりに手紙書くのもいいですが、そのぶん、ほかの仕事をする時間が割かれているのでは、と心配になります。
ミールラウンドも出来ない状況のなか、結は管理栄養士としての無力感に苛まれるのかと思いきや、この期に及んでまだ手柄を立てさせようという制作者の意図はなんなのか。本編よりも、「おむすび」の舞台裏に興味が湧くばかりです。
(桧山珠美/TVコラムニスト)