「骨を喰む真珠」北沢陶著
「骨を喰む真珠」北沢陶著
大正14年、大阪実法新聞の身の上相談欄を担当する新波苑子は奇妙な投書を受け取った。
「私は溺れております 青い家の中で朽ちていきます……」
差出人は丹邨(にむら)孝太郎。丹邨製薬の社長の息子で、以前、同僚が自宅の訪問記を書いたことがある。投書の封筒の底には、一度切り開いて閉じた形跡があった。苑子は娘に絵を教えるという名目で丹邨家に入り込み、「化け込み記事」を書くことにした。
丹邨家で引き合わされた孝太郎は震え声で「僕はもう、手遅れなんです。この家から逃げられへん身にされてしもうた」とつぶやく。
効果は高いが成分不明の薬の秘密を女性記者が探るミステリー。
(KADOKAWA 1925円)