映画「バービー」が証明するエンタメとしての映画の変化…大ヒットの必然を識者が分析
全米で今年最高のオープニング成績を上げた映画「バービー」(全世界興行収入は10億ドル=約1410億円を突破)。その後、同時期に公開された原爆の開発者を描いた「オッペンハイマー」を絡めたファンアートが日本で批判され、作品自体を離れて注目を集めている。日本でも8月11日から公開されるが、なぜこの映画はこれほどヒットしているのだろうか?
主人公は1959年に発表された、世界で一番有名なファッションドールのバービー。物語は完璧な世界「バービーランド」で暮らすマーゴット・ロビー演じるバービーに、心と体で変調が起こり、その原因が人間世界にあることを知った彼女は、ボーイフレンドのケンと共に人間界へとやってくるというもの。
■理想と現実の出会い
人形の世界とリアルな人間世界を股に掛けた冒険ファンタジーの体裁を取りながら、映画はふたつのテーマを持っている。一つは完璧な「バービーランド」と、悩みを抱えた人間世界の対比。天候も温度も毎日同じ。女性たちが社会の要職につき、夜にはパーティーが繰り返される「バービーランド」では、バービーたちが楽しいことしか起こらない。バービーは自分たちが人間の憧れになっていると思っているが、人間界に行ってみると、人々はバービーのことなど気にも留めず、悩みを抱えながらもそれぞれの人生を生きている。変わらないことを完璧と思ってきたバービーにとって、変化することが本当に生きることだと感じている人間世界は衝撃の連続。バービーを通して理想と現実の出会いを描いているのがポイントだ。