苦節の悲壮感を漂わせず迎えたサルゴリラ児玉智洋の「最高の1日」
パンサー向井が「3組の中で『キングオブコント』の決勝に一番近いのは、ジューシーズだなって、なんとなく感じていて」(CBCラジオ「#むかいの喋り方」23年10月3日)と振り返るように、当時からネタの面白さに定評があった。しかし、先に売れたのはパンサーやジャングルポケット。ジューシーズは解散した。
そんな状況でも2人は常に楽しそうだったと向井は言う。その向井と児玉は又吉直樹とルームシェアをしていた。収入に応じて家賃が決められ、後輩の向井が10万円に対し、児玉は5万円。「5万さん」とイジって呼ばれても、卑屈になることは一切なく、やはりずっと楽しそうだったという。又吉と向井は、そんな児玉のコント王者戴冠を「リビングの怪物からコントの怪物へ」と表現し、称えた(NHKラジオ第1「又吉・児玉・向井のあとは寝るだけの時間」23年10月23日)。
サルゴリラには、苦節の長い芸人に漂いがちな悲愴感がほとんどない。「売れる」「売れない」ではなく、大好きなコントをやれる。それだけで楽しかったのだ。だから、彼らは幼馴染みの関係性のまま仲がいい。冒頭の番組では、決勝当日のスケジュールが児玉によって明かされていた。