映画で理解するパレスチナ問題(中編)報復劇のむなしさを暴いたスピルバーグ監督作「ミュンヘン」

公開日: 更新日:

 イスラエル戦時内閣のアミハイ・エリヤフ大臣(極右政党「ユダヤの力」所属)が5日、「核爆弾をガザに投下してハマスを皆殺しにするべきか」と問われて「それも選択肢の一つ」だと放言した。ネタニヤフ首相は即座に職務停止処分を決め、本人は「比喩だ」と釈明している。しかし、ラジオ番組での誘導的な質問に対する回答とはいえ、「公然の秘密」だった核保有を認めただけでなく、その使用を閣僚が公言したことに衝撃が走った。事態はどこまでエスカレートする可能性があるのか。

 前回に続いて、第1次中東戦争以降の歴史を概観しよう。アラブナショナリズムの高まりを受けたエジプトのナセル大統領がスエズ運河国有化を宣言したことを機に、英仏イスラエル三国がエジプトを侵略するも失敗した第2次中東戦争(1956年)を経て、67年にはイスラエルが奇襲攻撃を掛けてガザ地区、ヨルダン川西岸、ゴラン高原、シナイ半島をあっという間に占領した第3次中東戦争(6日間戦争)が起きる。屈辱にまみれたエジプトは失地回復するべくイスラエルへの奇襲攻撃を準備するが、両国のはざまでモサドのエージェントとして暗躍したのがナセルの女婿アシュラフ・マルワンだ。映画「コードネーム エンジェル」(2018年、アリエル・ブロメン監督)は、ナセルを継いだサダト大統領の信頼を得ながら73年の第4次中東戦争(ヨム・キプール=贖罪日戦争)に至るまでの間、マルワンが仕掛けた諜報活動(ヒュミント)を緊迫したタッチでリアルに描き必見だ。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  2. 2

    中居正広の騒動拡大で木村拓哉ファンから聞こえるホンネ…「キムタクと他の4人、大きな差が付いたねぇ」などの声相次ぐ

  3. 3

    木村拓哉は《SMAPで一番まとも》中居正広の大炎上と年末年始特番での好印象で評価逆転

  4. 4

    中居謝罪も“アテンド疑惑”フジテレビに苦情殺到…「会見すべき」視聴者の声に同社の回答は?

  5. 5

    中居正広9000万円女性トラブル“上納疑惑”否定できず…視聴者を置き去りにするフジテレビの大罪

  1. 6

    中居正広はテレビ界でも浮いていた?「松本人志×霜月るな」のような“応援団”不在の深刻度

  2. 7

    フジテレビは中居正広で“緊急事態”に…清野菜名“月9”初主演作はNHKのノンフィクション番組が「渡りに船」になりそう

  3. 8

    中居正広の女性トラブルで元女優・若林志穂さん怒り再燃!大物ミュージシャン「N」に向けられる《私は一歩も引きません》宣言

  4. 9

    若林志穂vs長渕剛の対立で最も目についたのは「意味不明」「わからない」という感想だった

  5. 10

    中居正広「女性トラブル」に爆笑問題・太田光が“火に油”…フジは幹部のアテンド否定も被害女性は怒り心頭

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    相撲協会の逆鱗に触れた白鵬のメディア工作…イジメ黙認と隠蔽、変わらぬ傲慢ぶりの波紋と今後

  2. 2

    中居正広はテレビ界でも浮いていた?「松本人志×霜月るな」のような“応援団”不在の深刻度

  3. 3

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 4

    《2025年に日本を出ます》…團十郎&占い師「突然ですが占ってもいいですか?」で"意味深トーク"の後味の悪さ

  5. 5

    ヤンキース、カブス、パドレスが佐々木朗希の「勝気な生意気根性」に付け入る…代理人はド軍との密約否定

  1. 6

    中居正広の女性トラブルで元女優・若林志穂さん怒り再燃!大物ミュージシャン「N」に向けられる《私は一歩も引きません》宣言

  2. 7

    結局《何をやってもキムタク》が功を奏した? 中居正広の騒動で最後に笑いそうな木村拓哉と工藤静香

  3. 8

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  4. 9

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  5. 10

    高校サッカーV前橋育英からJ入りゼロのなぜ? 英プレミアの三笘薫が優良モデルケース