碓井広義
著者のコラム一覧
碓井広義メディア文化評論家

1955年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。81年テレビマンユニオンに参加。以後20年、ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に「人間ドキュメント 夏目雅子物語」など。慶應義塾大学助教授などを経て2020年3月まで上智大学文学部新聞学科教授。専門はメディア文化論。著書に「倉本聰の言葉―ドラマの中の名言」、倉本聰との共著「脚本力」ほか。

木梨憲武&奈緒「春になったら」ドラマは現実との不思議な符合をみせることがある

公開日: 更新日:

 月10ドラマ「春になったら」(カンテレ・フジテレビ系)は、父と娘の物語だ。

 椎名雅彦(木梨憲武)は62歳の実演販売士。一人娘で助産師の瞳(奈緒=写真)と2人暮らしだ。今年の元日、互いに伝えたいことがあると言い出した。「3カ月後に結婚します!」と宣言する瞳。雅彦は「3カ月後に死んじゃいます!」と告白する。

 当初、瞳は雅彦の冗談だと思っていたが、そうではなかった。ステージ4の膵臓がんで余命3カ月とわかったのだ。雅彦のほうは、瞳の相手である川上一馬(濱田岳)が売れないお笑い芸人で、しかもバツイチの子持ちと知って猛反対。2人の怒涛の3カ月が始まった。

 ドラマは時々、現実との不思議な符合をみせることがある。昨年末に「ステージ4の膵臓がん」を公表した、経済アナリスト・森永卓郎氏(66)の顔が浮かんだ。森永氏は「最後まで闘う」と言って入院し、治療に専念している。一方、雅彦は治療を拒み、「やりたいことをやって死ぬ」と覚悟を決めている。

 どちらが正しい、間違っているという話ではない。個々の人生観や死生観にかかわる選択であり決断だ。雅彦は「死ぬ前にやりたいことリスト」を作って動き出す。

 脚本は福田靖(朝ドラ「まんぷく」など)のオリジナル。達者な演技の奈緒はもちろん、“俳優・木梨”の頑固おやじもいい味を出している。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  2. 2
    マレーシア「ららぽーと」に地元住民がソッポ…最大の誤算は歴史遺産を甘く見たこと

    マレーシア「ららぽーと」に地元住民がソッポ…最大の誤算は歴史遺産を甘く見たこと

  3. 3
    ドジャース山本由伸いきなり「投手史上最高の465億円」は“佐々木朗希込み”の値段だったか

    ドジャース山本由伸いきなり「投手史上最高の465億円」は“佐々木朗希込み”の値段だったか

  4. 4
    まともに相撲が取れない貴景勝いまだ現役の裏に「親方株問題」 3場所連続休場で9度目カド番確定

    まともに相撲が取れない貴景勝いまだ現役の裏に「親方株問題」 3場所連続休場で9度目カド番確定

  5. 5
    阪神・岡田監督に「契約延長説」急浮上…勇退説から二転三転も、背景に夫人のサポート

    阪神・岡田監督に「契約延長説」急浮上…勇退説から二転三転も、背景に夫人のサポート

  1. 6
    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  2. 7
    鹿児島・山形屋は経営破綻、宮崎・シーガイアが転売…南九州を襲った2つの衝撃

    鹿児島・山形屋は経営破綻、宮崎・シーガイアが転売…南九州を襲った2つの衝撃

  3. 8
    一人横綱・照ノ富士が満身創痍でも引退できない複雑事情…両膝と腰に爆弾抱え、糖尿病まで

    一人横綱・照ノ富士が満身創痍でも引退できない複雑事情…両膝と腰に爆弾抱え、糖尿病まで

  4. 9
    「飲みィのやりィのやりまくり…」高市早苗氏がブチまけていた“肉食自伝”の衝撃!

    「飲みィのやりィのやりまくり…」高市早苗氏がブチまけていた“肉食自伝”の衝撃!

  5. 10
    野茂英雄氏と借金トラブル 元1億円投手の佐野慈紀さんは今

    野茂英雄氏と借金トラブル 元1億円投手の佐野慈紀さんは今