著者のコラム一覧
松尾潔音楽プロデューサー

1968年、福岡県出身。早稲田大学卒。音楽プロデューサー、作詞家、作曲家。MISIA、宇多田ヒカルのデビューにブレーンとして参加。プロデューサー、ソングライターとして、平井堅、CHEMISTRY、SMAP、JUJUらを手がける。EXILE「Ti Amo」(作詞・作曲)で第50回日本レコード大賞「大賞」を受賞。2022年12月、「帰郷」(天童よしみ)で第55回日本作詩大賞受賞。

森永卓郎さんの覚悟は古賀茂明さんのそれと相似形 胸の中で「I am MORINAGA」を掲げてみる

公開日: 更新日:

「森永卓郎さんがご自分で『遺書』と言いきっている新刊、読みました? いきなり松尾さんの話がかなり長く出てきますよ」

 きっかけは、ぼくが出演するラジオのリスナーから寄せられた情報だった。経済アナリスト森永卓郎氏の新刊『書いてはいけない 日本経済墜落の真相』(三五館シンシャ)が、昨年のベストセラー『ザイム真理教』に続き爆発的に売れていることは知っていた。その本になぜ自分が? 彼の専門領域である経済について、これまでぼくは踏み込んだ発言をした覚えがない。

 もちろん森永さんの存在はメディアを通して一方的に存じているが、お目にかかったこともなければ、不勉強にしてご著書を読んだこともない。まずは実際に読まねばと早速ネットで注文。ところが品切れ状態がずっと続いたのだ。版元が大手ではないという理由もあるにせよ、ほんとによく売れていることを痛感した。ようやく入手したときには注文から3週間経っていた。

 まず目を奪われたのは表紙の帯文だ。

「2023年12月、ステージ4のがん告知を受けた。『命のあるうちにこの本を完成させ世に問いたい』私はそれだけを考えた」

 鬼気迫る文言ではないか。そんな〈遺書〉になぜ音楽プロデューサーの自分が? 疑問はつのるばかり。今度は裏表紙を見る。帯には表よりはやや小ぶりの文字でこうあった。

「メディアでは、けっして触れてはいけない『タブー』が3つ存在した。1、ジャニーズの性加害 2、財務省のカルト的財政緊縮主義 3、日本航空123便の墜落事件。この3つに関しては、関係者の多くが知っているにもかかわらず、本当のことを言ったら、瞬時にメディアに出られなくなる」

 なるほど、ジャニーズ問題も取りあげているのか。ならば、ぼくへの言及がその話題に関してであることはまず間違いない。ではどんな文脈で語られているのか。それが気になる。賛同なら素直に嬉しい。でも批判だとしても、正面から受け止めねばならない。何しろ、森永さんが余命をつよく意識しながら著した〈遺書〉なのだから。

 本を裏返して再び表紙を見た。するとどうしたことか、さっきは迂闊にも見落としていたイラストの図柄が、今度はくっきり目に飛びこんでくる。著者とおぼしきスーツにメガネの男性が、ショベルを片手に瓦礫の縁に佇んでいる。「財務省」と書かれた看板とともに、瓦礫に埋もれた額装画。そこに描かれているのは──あの有名な〈キャップをかぶったジャニー喜多川〉だった!

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    俳優・山口馬木也さん「藤田まことさんは『飲め、飲め』と息子のようにかわいがってくれた」

  2. 2

    前代未聞の壮絶不倫・当事者のひとりがまたも“謎の欠場”…関係者が語った「心配な変化」とは???

  3. 3

    テレ朝ナスD“経費横領&パワハラ処分”に「見せしめ」の声も…家族団らん投稿の美人料理家妻に同情集まる

  4. 4

    自信なくされたら困るから? 巨人・田中将大がカブス戦登板「緊急回避」の裏側

  5. 5

    東原亜希の“黒帯バスローブ密会”乗り越えた「許す力」は佐々木希以上? 経済的自立も目指す強心臓とたくましさ

  1. 6

    料理研究家の森崎友紀 “本業”専念も恋愛は「年も年なので」

  2. 7

    兵庫県パワハラ知事に残った選択肢は「議会解散」のみ…多数派工作で延命図るか?味方は“情報漏洩3人組”のみ

  3. 8

    あす旧統一教会に解散命令か? N国党に急接近の不気味、タダでは転ばない悪あがき

  4. 9

    巨人の“アキレス腱”は絶対的セットアッパーが使えないこと…新助っ人キャベッジで外国人枠「満員」

  5. 10

    佐々木希が「芸能人格付けチェック」で"地雷キャラ"といじられ…夫・渡部建を捨てないもう1つの理由