吉永小百合の夫が亡くなった…結婚前後のサユリストの“熱狂と羨望と絶望”を振り返る

公開日: 更新日:

 小百合の結婚前と後に公開された映画がある。「男はつらいよ 柴又慕情」と「男はつらいよ 寅次郎恋やつれ」である。「柴又慕情」は福井を旅行中に寅と出会うOL役で、父親との関係に悩んでいるという設定。寅が写真を撮ってやるとカメラを構え、「ハイチーズ」というところを「バター」といって小百合が笑い転げるシーンは、彼女の若さがはじけていた。

 一転、2年後に公開された「恋やつれ」は、父親の反対を押し切って男と駆け落ちし、男の故郷で結婚生活を始めたが、2年後に夫が病死してしまった寡婦の役である。山田洋次監督の思惑が透けて見える。

 私たちサユリストは、結婚前と結婚後で、小百合がどう変わったのかを“検証”するために、この映画を何度も食い入るように見た。明らかに若い女性から“女”に変身していた。その夜は、ゴールデン街で惚けるまでやけ酒をあおった。

 結婚前、作家の遠藤周作から、「君は亭主が歯槽膿漏でも、その歯ブラシを使えるか」と聞かれ、小百合は「ハイ、使えます」と答えた。これを読んだときの絶望感を、今でも覚えている。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    中日・根尾昂に投打で「限界説」…一軍復帰登板の大炎上で突きつけられた厳しい現実

  2. 2

    松本人志は勝訴でも「テレビ復帰は困難」と関係者が語るワケ…“シビアな金銭感覚”がアダに

  3. 3

    《今宮健太の巻》「1発かました」僕の目を臆さず睨み返した生意気根性に「大物になるかも」

  4. 4

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  5. 5

    中日立浪監督「急転退任」の舞台裏と3年連続最下位の元凶…次期監督候補は2人に絞られる

  1. 6

    「SHOGUN 将軍」は平岳大も凄い! 真田広之の“後継者”になれるか…ハワイ移住4年で掴んだ国際派俳優のチャンス

  2. 7

    辞め女子アナ人生いろいろ…元TBS小林悠「半額の刺し身でひとり夕食」、元NHK住吉美紀「長い婚活の末に再婚」

  3. 8

    《中村晃の巻》プロ2年目を終えた未来の打撃職人に「ホームランを打て」とあえて注文を出したワケ

  4. 9

    松本人志“裁判取り下げ報道”事実なら「認めた」も同じ "アテンド後輩芸人"復帰も絶望的

  5. 10

    神田沙也加さん「自裁」の動機と遺書…恋人との確執、愛犬の死、母との断絶