水野晴郎さんは打ち合わせの段階から、映画を語ることの“喜び”や“うれしさ”に満ちあふれていた
「いやぁ~映画って本当にいいもんですね~」の決めゼリフでおなじみだった、映画評論家の水野晴郎さんに初めてお会いしたのは30年近くも前のことでしょうか。「水曜ロードショー(後に金曜ロードショーに移動)」の姿そのままに、満面に笑みをたたえてテレビ局の楽屋へいらっしゃいました。
打ち合わせの段階から「映画のことならなんでも聞いてください。こうして映画のことをしゃべらせていただけるなんて幸せですね」と楽しそうでした。ここまで“喜び”“うれしさ”に満ちあふれている方は初めてだったのでよく覚えています。
映画の宣伝マン時代には「原題をそのまま訳してもなかなかピンとこないんですね。だからいろいろ考えましたね」。で、生まれた邦題が「史上最大の作戦」「夕陽のガンマン」「追想」など今なお名作として残っているものばかり。第2次世界大戦の連合国軍のノルマンディー上陸作戦を描いた超大作「ザ・ロンゲスト・デイ(原題)」は、「日本人には思い入れがないからストレートに訳してもインパクトがないな~と思って『史上最大の作戦』にしたんです」。007シリーズでも「007危機一髪」をもっと印象付けたいなと思って「日本語としてはおかしいんだけど『危機一“発”』に変えてみたんですね」とうれしそうに話しておられました。