本橋信宏<前編>「AVの帝王」村西とおる監督を最も知る男
15年、本橋氏は「街」に斬り込んだ。「迷宮の花街 渋谷円山町」には過去の履歴や怨念が練りこまれ、なぜ芸者300人を抱える花街がラブホテル街となったのか? この地で起きた東電OL殺人事件も独自の目線で描かれ、この“アンダーグラウンドシリーズ”は鴬谷、上野、新橋と続いた。
本橋氏は酒を飲まないが乗せ上手、聞き上手。一緒に居るとこちらが語るつもりもないことまで聞き出されてしまう。でも、本橋氏は口が堅く、安易にそのことを文章にも書かないので気を許してしゃべってしまう。だから日本のレーニンと呼ばれた元赤軍派・塩見孝也議長も心を開いた。稚気のある彼は同議長の長年の刑務所暮らしをねぎらうために、ある夜「おっぱいパブ」にお連れしたそうである。その話を聞いた世間の一部が「あれだけの犠牲者を出した元赤軍派議長に許される行為ではない」と非難したところ、塩見元議長は「おっぱいパブ嬢とはいえ、立派な仕事。職業に貴賤はない」と一喝したという。