リスクが68%低下 「虫歯」がある人はがんになりづらい
■歯周病はしっかり予防すべし
原因菌の違いは、細菌の感染と戦う免疫反応の違いを生む。免疫の調整役である〈ヘルパーT細胞〉というリンパ球には、Th1、Th2、Th17といった種類がある。虫歯では主にTh1が免疫反応の主体となり、歯槽膿漏などの歯周病ではTh2とTh17が主体になる。
虫歯に関係するTh1は発がんを抑制して体を守る方向に働き、歯周病に関わるTh2とTh17は逆に発がんを刺激して育てる働きがあることがわかっている。
つまり、虫歯菌を持っているだけならがんを抑制する免疫が高まり、がんになりづらくなる。歯周病はしっかりと予防して、虫歯菌だけとうまく付き合うことができれば、がんの予防につながる可能性があるのだ。
「論文では、口や喉のがんについての報告だけですが、歯周病はがんだけでなく糖尿病などの生活習慣病との関連も指摘されています。口腔内の環境が全身に影響を与えるということですから、虫歯に関わるヘルパー細胞が他の部分のがんを抑える可能性もあります」(石原氏)