がんの男女差 「咽頭」「食道」「肝臓」などは男が圧倒的に多い
男女平等の世の中ですが、病気によっては意外と大きな格差があります。その代表が、がんです。たとえば総患者数で、男性の胃がんは女性と比べて2倍も多くいます。それだけでなく肺がん1.8倍、肝臓がん2.1倍、食道がん3.8倍。咽頭がんにいたっては、なんと10倍も男性患者が多いのです。
ところが、がん全体で見ると格差は1.2倍。がん患者という大きなくくりで見れば、男女差はさほど開いていません。その理由は女性特有のがんにあります。子宮がん、卵巣がん、乳がんなどです。また甲状腺がんも女性に多いがんです。
膵臓がん、メラノーマ(皮膚がん)、脳腫瘍などは、男女差がほとんど見られません。
ちなみに白血病は、映画や小説などの影響からか、若い女性がかかりやすいイメージがあります。しかし実際には男性患者のほうが少し多くなっています。とくに10代から20代の白血病は男のほうがかかりやすい傾向にあるのです。
がん患者の総数は2011年の患者調査(厚生労働省)において、男性83万人、女性70万人、合わせて153万人でした。男のがんは主要臓器、とくに肺と消化器系で多いのですが、これはたばこや酒など生活習慣が大きな原因といわれています。
しかし最近の大学生を見ていると、たばこを吸わず、酒もあまり飲まない男子が増えています。彼らが中高年に達するころには、がん患者の男女差が逆転しているかもしれません。
▽長浜バイオ大学・永田宏教授(医療情報学)