片耳が聞こえなくなった…急性難聴は重大病の危険信号だ
「外リンパ液が漏れ出た直後から強い回転性のめまいが起こり、難聴や耳鳴りも伴います。仮に海中でめまいが起こったら、そのまま溺れてしまうケースも考えられるので非常に危険です。とりわけ中高年は若い頃よりも外圧による影響を受けやすく、発生率も高いので要注意です」
治療は安静にして自然閉鎖を待つのが一般的だが、効果がない場合は外リンパ瘻の閉鎖手術を行う。
急な難聴を引き起こす疾患で、いちばん危険なものは聴神経腫瘍だ。
「これは、脳腫瘍の中で最も頻度が高いものです。耳から得た情報を脳に送る内耳の蝸牛神経と、平衡感覚をつかさどる前庭神経という2種類の神経にできた腫瘍が圧迫、破壊し、難聴や耳鳴りが起こります。片耳が聞こえなくなったのに放置すれば、最悪の場合、腫瘍が増大して脳の組織が破壊され、命の危険を伴うケースもあります」
腫瘍を発見したら定期的にMRI検査を行い、年間に数ミリ程度の成長しかなければ経過を見る。増大傾向が認められれば、サイバーナイフやガンマナイフによる放射線治療や摘出手術を行う。