糖尿病の原因の14%が…大気汚染が引き起こす意外な病気
「急性心筋梗塞は冬に多く夏に向かって発症件数は減っていく。ところが、3~5月の黄砂が飛んでくる時期に、わずかながら発症数が上がることが研究のきっかけです」
黄砂は粒子の大きさによっては肺胞にまで達する。黄砂による心筋梗塞発症のメカニズムはわかっていないが、酸化ストレスや炎症が関与していると考えられている。動脈硬化の粥状プラークを破裂させ血栓ができることで急性心筋梗塞を発症させるという。
「ただし、黄砂が高血圧、喫煙、糖尿病、コレステロールと同列の心筋梗塞リスクとは考えていません。発症の一押しになる可能性を考えています」(小島教授)
東京都ではディーゼル車の規制を強化した2006年を境に、東京都区部で脳卒中の死亡率が8・5%減った可能性があると報告されている。岡山大学の研究者らがディーゼル車規制を強化した06年4月の前後各33カ月にわたり、都が測定しているPM2.5濃度と都区部での脳卒中死者数を1日ごとに調べ、比較した。結果は02年に1立方メートル当たり27.5マイクログラムあったPM2.5が、09年には15.9マイクログラムにまで減少。脳卒中の死者数は2万460人から1万9728人に減った。環境衛生学の第一人者で京都大学大学院地球環境学堂環境健康科学論分野の高野裕久教授が言う。