骨格筋の新医学を切り開く 世界で初めて検出法を確立
そして、藤井教授らがマイオカインの研究を始めたのが2008年。4年後には世界で初めて、筋肉のみから分泌される純粋なマイオカインの検出法を確立した。
「これまで約30種ものマイオカインが報告されていますが、中には検出法が曖昧で議論の余地のあるものも含まれます。私たちは間違いなくマイオカインに運動の健康効果があると考えていて、いいかげんな科学分野にしたくないので、慎重に研究を進めています」
確立した検出法とは、筋肉細胞を培養して再合成した「培養細胞」を使った筋収縮モデル。これに電気刺激を与え収縮させることでマイオカインを分泌させ、その物資が何かを、ごく微量の物質でも同定できる質量分析法で検出する。この検出法を用いて、藤井教授らがこれまで特定したマイオカインは10種類以上になるという。
「マイオカインが特定できたら、次は作用や分泌機序を調べなくてはいけません。その研究には、遺伝子操作したショウジョウバエやマウスを使っています。マイオカインと他の臓器から分泌されるホルモンには同じ物質もあるのですが、それぞれ違う働きをしていると考えています」