骨格筋の新医学を切り開く 世界で初めて検出法を確立
例えば、「アイリシン」というマイオカインは、普通の白色脂肪を、エネルギーを消費する「褐色脂肪」に変える作用があるとされる。「スパーク」は大腸がんを抑制。「IL―6」は筋肉の糖代謝を高めると考えられている。これらの働きが明確に証明されれば、将来、創薬や新運動療法に応用できるという。
「どんな運動をすれば、どんな種類のマイオカインが多く分泌されるかはまだ分かっていません。しかし、筋肉の質と量を保つことが大切であるとの研究報告が数多く出てきています。製薬会社も筋肉量を低下させない薬を開発中です」
これまで見落とされていた「骨格筋の新医学」が誕生しつつある。
▽1994年筑波大学博士課程体育科学研究科修了。米国ジョスリン糖尿病センター、ハーバード大学医学部などを経て、2008年から現職。〈所属学会〉日本細胞生物学会、日本糖尿病学会、日本体力医学会など。