がん研センターが公表 「拠点病院」生存率データの読み方
たとえば、国立がん研究センターの大腸がんデータを見てみると、1期は対象数248人で死亡数23人。生存率は90.5%でした。以下2期は195人、25人で86.6%、3期は198人、27人で85.7%と8割をキープしますが、4期は128人、83人で27.9%に下がります。全体では、796人、159人で、79.1%です。
がん研有明病院の大腸がんは、全体で国立がん研究センターを0.3ポイント下回りますが、病期ごとの数値は一変します。1期は260人、20人で92.3%。2期は193人、24人で87.4%、3期は271人、37人で86.2%で、4期は166人、115人で30.3%。病期ごとのチェックでは、国立がん研究センターよりすぐれているのです。それでも全体のデータがわずかに下回ったのは、4期の死亡数の多さでしょう。
施設ごとのデータ比較は、まず同じがんの同じ病期をチェックすること。全体の生存率を見る場合は、病期ごとの患者構成のチェックが欠かせません。
都立駒込病院は、公表資料のコメント欄に「合併症を多く持った患者さんや、比較的進行した患者さん……」と書かれているように、冒頭の2施設より進行がんの患者数が多い。それでも、乳がんの4期は、がん研を上回る37.2%(国立がん研究センターの乳がん4期はデータなし)。進行がんの治療成績のよさが分かります。
数字をチェックする場合のポイントは、近いエリアの施設を見ること。青森と東京では人口構成が違うように、患者構成が大きく異なります。それでは意味がない。近いエリアの同じ病期。それなら拠点病院の実力を判断する材料になりえます。