更年期女性にホルモン補充療法 気になる乳がんリスクは?
頭痛や肩凝り、腰痛などを女性が度々訴えるようなら、もしかしたら更年期に関係する不調かもしれない。40代以降だけではなく、30代でも可能性がある。
■「専門医」が更年期治療を勧める理由
「更年期の不調といえば、ホットフラッシュやイライラ、うつなどがよく知られますが、実際の症状は非常に多岐にわたります。それが適切に診断されていない。不調に悩む患者さんに更年期障害の治療を勧めると、症状が一気に良くなるケースは珍しくありません」
こう話すのは、湘南記念病院乳がんセンター長の土井卓子医師だ。土井医師の専門は乳腺外科で、更年期障害の治療にあたる婦人科とは異なるが、“女性を診る科”ということもあり、婦人科と連携して、更年期障害の治療の普及に力を入れている。
その土井医師が、日本で初めてともいえるホルモン補充療法(HRT)と乳がんに関する大規模調査結果を発表した。
HRTは、女性の更年期障害の治療のひとつ。その効果は大きいが、「乳がんリスクを上げるのでは?」という懸念から治療を受けない人は多い。特に日本では顕著で、普及率は2~3%(欧米では40%)。日本人女性を対象にしたHRTと乳がんに関する調査は過去に埼玉医大が実施し、「HRTは乳がんの発症リスクを高めない」との結果が出ているものの、普及率の低さからそれ以外の研究が国内で行われていなかった。