心臓病のリスクにも影響「緑地環境」が健康を左右する
居住環境が健康状態に影響を及ぼす可能性について、複数の研究報告があります。
例えば幹線道路の近くに住んでいる人では認知症リスクの増加、強い騒音環境ではうつ病リスクの増加が示唆されています。
他方で、緑地環境が近隣にあることは、身体活動の促進や心理的なストレス軽減、また大気汚染や騒音などを防ぐことによる生活環境の改善が期待できることでしょう。
居住地区の緑地環境と心臓病のリスクを検討した研究論文が2019年3月19日付で、米国心臓協会誌電子版に掲載されました。
この研究では、米国フロリダ州マイアミのデイド郡に居住している65歳以上の24万9405人が解析の対象となっています。人工衛星の画像をもとに、緑地環境の度合い(正規化植生指数)を評価し、心臓病の発症リスクとの関連性が検討されました。なお、結果に影響を与えうる、年齢、性別、世帯収入などの因子で、統計的に補正して解析を行っています。
その結果、緑地環境の度合いが最も高い地域に居住していた人は最も低い地域に居住していた人と比べて、心筋梗塞のリスクが25%、狭心症のリスクが20%、心不全のリスクが16%、統計学的にも有意に低下しました。