青島周一
著者のコラム一覧
青島周一勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

平均気温よりも低いとリスク増 気候変動と認知症との関係

公開日: 更新日:

 過去の研究報告によれば、気候の変化が健康に何らかの影響を及ぼすことが示されています。

 例えば、気温が下がれば血圧が高くなりますし、脳卒中のリスクも増加するという報告があります。また、降雪量と心筋梗塞の発症に関連性を認めたとする報告もあります。ぜんそく症状の悪化が季節の変わり目に多いことは、割と有名な話ではないでしょうか。

 気候変動と認知症の関連を検討した研究論文が2019年2月26日付で環境学の国際誌電子版に掲載されました。

 この研究は、米国の公的保険データを用いて、ニューイングランド地方に在住している65歳以上の高齢者、約300万人を解析したものです。人工衛星の画像データを利用して各地域の季節的な気候変動を高精度で予測し、夏季及び冬季の気候と、認知症による入院リスクとの関連性が検討されました。なお、結果に影響を与えうる、年齢、性別、社会・経済的状況などの因子で統計的に補正して解析を行っています。

 その結果、認知症による入院リスクは、夏季の気温が平均気温よりも高い場合、2%少ない傾向にあり、冬季の気温が平均気温よりも高い場合3%、統計学的にも有意に低いことが示されました。また、気温の変化が大きい地域で生活する高齢者では、認知症による入院リスクが高いことも示されています。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    ソフトB山川穂高「無神経ぶり」改めて露呈…31試合ぶり本塁打も身内から異論噴出

    ソフトB山川穂高「無神経ぶり」改めて露呈…31試合ぶり本塁打も身内から異論噴出

  2. 2
    小池都知事が“アキバ降臨”も演説ドッチラケ…若者文化アピールに「うそつき!」とヤジ飛ぶ

    小池都知事が“アキバ降臨”も演説ドッチラケ…若者文化アピールに「うそつき!」とヤジ飛ぶ

  3. 3
    ソフトB山川穂高 数字では測れない「4番の価値」…打てない時期もチームの躍進に大貢献

    ソフトB山川穂高 数字では測れない「4番の価値」…打てない時期もチームの躍進に大貢献

  4. 4
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  5. 5
    ドトールに注がれる「石丸効果」都知事選でヒモ付き隠さず3番手から猛追、株価も爆上がり

    ドトールに注がれる「石丸効果」都知事選でヒモ付き隠さず3番手から猛追、株価も爆上がり

  1. 6
    石丸伸二候補に大逆風…「恫喝」訴訟で2連敗、都知事選後の国政進出シナリオも狂いが

    石丸伸二候補に大逆風…「恫喝」訴訟で2連敗、都知事選後の国政進出シナリオも狂いが

  2. 7
    都知事選最終盤に飛び交う「蓮舫狙い撃ち」の怪情報…永田町に出回る“石丸2位”データの真の狙い

    都知事選最終盤に飛び交う「蓮舫狙い撃ち」の怪情報…永田町に出回る“石丸2位”データの真の狙い

  3. 8
    巨人・桑田真澄二軍監督が「1人4役」大忙し…坂本勇人を感激させた“斬新アドバイス”の中身

    巨人・桑田真澄二軍監督が「1人4役」大忙し…坂本勇人を感激させた“斬新アドバイス”の中身

  4. 9
    中日ポスト立浪は「侍J井端監督vs井上二軍監督」の一騎打ち…周囲の評価は五分五分か

    中日ポスト立浪は「侍J井端監督vs井上二軍監督」の一騎打ち…周囲の評価は五分五分か

  5. 10
    大食いタレント高橋ちなりさん死去…元フードファイターが明かした壮絶な摂食障害告白ブログが話題

    大食いタレント高橋ちなりさん死去…元フードファイターが明かした壮絶な摂食障害告白ブログが話題