インフルエンザで脳梗塞、心筋梗塞、認知症に…なぜ起こる?

公開日: 更新日:

 急性心筋梗塞にも注意が必要です。昨年の「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」は、インフルエンザと診断されて1週間以内で心筋梗塞になるリスクが6倍に跳ね上がるとの論文を掲載しました。興味深いのはインフルエンザの型によってそのリスクが変わることです。A型では5倍でしたが、B型では10倍と報告されました。

 インフルエンザ感染では、呼吸器以外に血管にも免疫が関係する炎症が起こることが考えられます。そのため、血管の内皮が傷つき動脈硬化層(プラーク)の破裂が起こることがあり、そこに血栓ができるのです。高熱と脱水による血圧低下や血液が固まりやすくなることも、血栓ができるのを助長します。また、感染のストレスによって冠血管がけいれんし、血管内腔が詰まったりすることも原因ではないかと考えられています。インフルエンザで心筋の炎症が生じ、心機能が落ちて不整脈が出ることもあります。

 インフルエンザは毎年流行するため、ありふれた軽い病気のように感じている人もいるかもしれません。しかし、侮ってはいけません。インフルエンザは毎年1万人以上が亡くなる恐ろしい病気です。できるだけ予防ワクチンを接種し、感染しても重症化しないようにして、異常を感じたら早めに病院で診断を受け、安静休養をすることです。

(東邦大学名誉教授・東丸貴信)

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  2. 2

    農水省ゴリ押し「おこめ券」は完全失速…鈴木農相も「食料品全般に使える」とコメ高騰対策から逸脱の本末転倒

  3. 3

    TBS「ザ・ロイヤルファミリー」はロケ地巡礼も大盛り上がり

  4. 4

    維新の政権しがみつき戦略は破綻確実…定数削減を「改革のセンターピン」とイキった吉村代表ダサすぎる発言後退

  5. 5

    3度目の日本記録更新 マラソン大迫傑は目的と手段が明確で“分かりやすい”から面白い

  1. 6

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  2. 7

    粗品「THE W」での“爆弾発言”が物議…「1秒も面白くなかった」「レベルの低い大会だった」「間違ったお笑い」

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  5. 10

    巨人阿部監督の“育成放棄宣言”に選手とファン絶望…ベテラン偏重、補強優先はもうウンザリ