115年といわれるが…人間の「寿命の限界」はいくつなのか
有性生殖では、オスとメスの遺伝子が混ざり合い多様な遺伝子セットを持つ子供が生まれる。これはさまざまな環境に適応できる子供が生まれるという点でメリットがあるが、無性生殖とは違い複雑な遺伝子継承の作業が必要となるため、遺伝子の異常な組み合わせが出る可能性が高い。
本来、異常な遺伝子を持つ子供は成長できずに死んでしまう可能性が高いが、2倍体生物である人間は、染色体(遺伝子のセット)を2つもつため、片方に異常が生じても生存し生殖活動を行うことができる。そうすると異常な遺伝子を持つ細胞が子孫にどんどん蓄積され、やがて正常な細胞が作れなくなる子供が増えて人類そのものが絶滅する可能性がある。そこで、不要な遺伝子を持つ細胞を後世に残さないようにサッサと自死させてしまうという仕組みが必要となった。それが「自死」なのだ。
つまり、人間は男と女という「性」とセックスという「生殖」を持ったことで、地球上で生き延びるのに都合の良い遺伝子を子孫に残せるようになった。その代償として新たな「死」を背負ったというわけだ。この先、よほどのことがない限り、寿命の限界からは逃れられず、その壁はおそらくは120歳過ぎということのようだ。