115年といわれるが…人間の「寿命の限界」はいくつなのか
また、人間もゾウもネズミも体の大きさや1回の拍動に要する時間は違うが、みな心臓が15億回打てば死ぬという、生物学の考え方がある。それによると、体の大きさから予想されるヒトサイズの動物の寿命は41・5歳となるのだそうだ。つまり、生物学的には人間の体は42歳を過ぎると保証期間切れということだ。
■男と女がある生物には細胞の「自死」システムがある
ではなぜ、人には「寿命の制限」がかかっているのだろうか?
「個が増え過ぎると食料争いなどが起きて集団としての人類が滅びてしまう」という理屈はもっともらしいが、それは後付けの理屈だ。生物の成り立ちから人間は寿命の制限から逃れられないとの考え方がある。弘邦医院(東京・葛西)の林雅之院長が言う。
「そもそも理論的に人間の寿命は120歳くらいが限界、という声は昔からありました。それは人間を構成している37兆個の細胞の分裂回数の限界が約50回で、この回数から考えられる寿命が120年だからです」
この細胞分裂回数の限界は米国の解剖学者であるレオナルド・ヘイフリック教授が1961年に唱えた細胞老化説のなかで語られたものだ。その後それが確認され、そのメカニズムも明らかになっている。それは、細胞の核にある染色体の末端にはDNAを守るテロメアと呼ばれるタンパク質があって細胞分裂のたびにそれが短くなり、それがなくなると染色体に異常が起きて死んでしまうというものだ。