がんの「休眠療法」は有効性がいまだ科学的に証明されていない
その後、抗がん剤の副作用対策として、嘔気・嘔吐に対しての有効な制吐剤、白血球減少に対する薬剤(G―CSF製剤)が開発されました。また腎障害の予防対策も進み、がん細胞に効くための量が保たれて治療が行われるようになったのです。
■「体にやさしい」というが…
現在、抗がん剤の投与量は、臨床試験でしっかりとその効果が得られる量、副作用、安全性も検討した上で標準投与量が決められています。そして、患者の体の状態、肝機能・腎機能などを検討し、時には標準投与量を減らして行う場合もあります。
しかし、休眠療法はそこからさらに極端に抗がん剤の投与量を少なくします。ですから、副作用からみれば「体にやさしい」ことになるかもしれませんが、がん細胞に対して効果を得るためにはあまりにも少な過ぎる量といえます。がん細胞に効かせるには、ある一定の投与量以上が必要なのです。
また、そうしたごくごく少量投与を休眠療法と呼んでいますが、この少ない量で「がん細胞が休眠状態になった」という証拠はまったくありません。ですから、標準治療が行われるようになってからは休眠療法は行われなくなったと思っていました。